色全体の中で黒の果たす役割をさらに深く理解しようとする場合、シュタイナーの色相環を少し変え、色から色への移り変わりを描き加える必要があります。次の図では外側周辺の黒と白を広げました。この新しい図は画家にとっていっそう重要な側面を示しています。

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(色環 モロー)



色相環の左側には青紫と青に関連し、一種の根源的な力としての黒が現れ、連なる色群を飲み込むかのようです。それは青色の「背後」にあって、光によって緩和されていると思えるあの暗闇です。(ゲーテはこの青の性質について語っています。)

かつてこの黒は、画家にとって特定の一色ではなく、影に過ぎませんでした。古典画法によく使われていますが、このような陰影は表面を暗くして客体化し、立体的に見せるという効果があります。陰影は写実主義派にとって立体感を表わし対象を写実的に捉えるツールなのです。

ゲーテの同時代に活躍し、理論家でも画家でもあるフィリップ・オットー・ルンゲは、自分の「色環(Farbenkugeln)」に影を導入しました。



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( 色環 フィリップ・オットー・ルンゲ)


ルンゲの概念ではすでに3次元の色相球です!このようにして彼はあらゆる色と闇との親密な関係を探究しました。ルンゲの色相球を赤道に沿って辿っていくと、レモン・イエローから赤へと微妙な色調で変化し、それから段々に青紫から青へと移っていきます。両極には黒と白が配置されています。このような彼の見方は絵画においても明らかで、そこでは対象が好んで立体的に描かれ、灰色や黒の陰影に助けられて形が浮き彫りになっています。




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(色環  R・シュタイナー)


シュタイナーの色相環のもう一方の側には黒と赤の関係があります。赤に対する黒は、この温かい色の同類と見なすことができます。その黒はまるで燃焼過程から生じたかのようで、はじめは黄色であったものが段々に赤味を帯びて濃くなっていきます。次の図9(「黄から黒へ」)では、黄からオレンジ、オレンジから赤へと変化する過程で闇がどんどん吸収され、やがて強烈なカーマイン・レッドへと行き着くように感じられます。



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(黄から黒へ モロー)

この色の変化はどことなく消化作用に似ています。やがて赤がこれ以上の暗さを、自己の本質を失わずには吸収できない瞬間がやって来ます。その結末である最も暗い赤は「輝きの色」とはならず、死の純粋な表現である<黒>となります!灰へのプロセスです。

この世に存在する黒い物質は、どれも何らかの灰ではないでしょうか?
墨はそのような黒の代表的な例であり、一つの色です。燃焼した木の煤で作られています。色相環に導かれて私たちは自然現象を巡ります。一方では昼間の青空の背後に潜む宇宙の夜の闇として黒があり、もう一方では地上における火の化学的プロセスの結果、赤の次に最も暗い色として現れる黒です。





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