そうすると、それぞれの補色は、原像に対する反射像とみなすことはできるでしょうか?
われわれの色の交差では、この関係は一方通行であり、右側は左側を映し出しているものの、その逆はないようです。交差している右側には、「暗闇から誕生した」色群が並び、なるほど左側に対する一種の補色反射と言えます。闇は光の鏡です。
光から出て来る黄−赤の矢は、未来を切望するように、右の方へと動いていきます。暗闇から生まれた青−青紫の矢は、その明るさを左の方へと向けます。これらの色には、どことなく私達を過去へと誘う思慮深さや郷愁があります。
今見てきた両極性は、昼と夜のリズムを作り出す大気中の両極性でもあります。太陽の姿は地平線に近づくにつれて黄色くなり、視界から消え去る手前で赤へと変わります。その刹那に青がゆっくりと黒に変化します。空を支配する夜の時間のはじまりです。
空の色を構成する、このような二つのプロセスを、ゲーテは根本的現象とみなし、「原現象」と呼びました。そこに隠された時間のミステリーをこれから見ていきたいと思います。
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